カテゴリー「暮らし」の127件の記事

大吉!

・・・などと喜んでいると、後は落ちるだけだなんて、誰かから指摘されそうだけれども。

元旦の朝は、家族でお雑煮を食べて、近所の寺に初詣に出かけるのが常である。
近所とはいえ、義母を連れて家から歩くと往復で1時間程かかるので、近くのパーキングに車を停めて、ささっとお参りをして、おみくじを引いて、帰る。

それにしても、昨日は1日中寒かった。
この冬初めて、朝スイッチを入れた暖房器具の室温表示が1桁であった。
だからかどうか、今年は義母から『行かない』と断られ、娘と3人で出かけたのだが、ささっと済ませるはずのお参りに、45分もかかって、鼻が赤くなる程寒くて、義母の選択は正解だったかもしれない、と思う。

寺でも神社でも、『おみくじ』の文字を見ると、引きたくなる方だが、ここの『おみくじ』は『引く』というより『選ぶ』タイプである。
この時期にしかお目にかからないから、本物かどうかわからない平服の巫女さん?に300円渡し、箱に盛られた内のひとつを自分で選んで取る。

そういえば、何年か前に『半吉』というのを引いた。
『半吉』・・・って、上から何番目なんだろう。
それとも下から数えた方が早いのかな。
てか、おみくじの種類っていくつあるのか、正しい順番とか、実は知らないんだっけ。

大昔、ここで引いたのではないが『大凶』ってのもあった。
笑い飛ばそうと、もう一度引いたら、やっぱり『大凶』で、笑えない程驚いた。

過去に『大吉』を引いたのは、四国で金比羅参りをした時である。
後日、自慢したら、あそこはお参りするのが大変だから、サービスで『大吉』が多いのだと言われて以来、久しぶりの『大吉』である。

『ひそみ居し ふちの龍らも時を得て 雲井に登る かげのめでたさ』

いつも結んで帰るのだけれど、今年は持って帰ってきちゃった。

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プレゼントの定義

毎年この時期、11月生まれの娘にプレゼントが届く。

送り主は、アメリカにいる主人の姉である。
今年は、女の子らしいソックスが2足、ストール、ニット帽をモノトーンでまとめた内容で、たいそう娘は喜んでいたが、その笑顔を横目に、私は頭痛を感じずにはいられないのであった。

毎年忘れずにプレゼントをしてくれるのは大変嬉しい事である。
それは、アメリカの人と結婚し、生活をしているお国柄かもしれないが、だからこそ、こちらが知らん顔をするわけにもいかないし、遠慮なくどうぞと言わんばかりに、もう12月、クリスマスがやってくるのだ。

姉には、大学生の女の子を頭に、高校生の男の子、10年開いて女の子と男の子の合計4人の子供がいる。
正直言って、毎年毎年4人別々に誕生日に何か贈るのは、経済的にも厳しいが、気持ちに余裕がない。

何をプレゼントひとつに、そんな心の狭い事をと思われそうだが、自分的には逆なのである。

私は、小さい頃から人にあげる物を考えるのが苦手だった。
貰う事が苦手だからかもしれない。
とはいえ、姉がいるし、決して豊かな家庭に育ってはいないから、お下がりを使うのに何の躊躇もなく、気に入れば欲しいと言って、人が使っていた物を好んで使ったりするし、人に物を買い与えられるのなんて大歓迎である。
だから正確に言えば、欲しくない物を貰うのが苦手だし、使うかどかわからない物を、取りあえず貰うという行為が嫌いなのである。

勿論、手土産だとか旅行に行ったからなどと戴く類の物に文句を付ける気はなく、純粋に嬉しく思う。
しかし例えば、ポイント集めて貰える、衣類とか、器だとか、当人は使う予定もなく貰っておいて、そんなの要らないと言えない間柄の人に『あげる』と言われるのが一番困る。

なので、貰って嬉しくない物を、なるべく人には差し上げたくない。

小学生の頃、何度かお誕生会というのに招かれた。
その度にファンシーショップで悩んだ覚えがある。
特別仲良しでもないけれど、せっかく買って行くのだから、何か欲しい物をあげたいのだが、いざ選ぶ段階になると、その子がどんな物を好むのかわからなかったからだと思う。

中学生にもなれば、何をやるのもお小遣いの範囲なので、そういう頭数的な付き合いはしないし、予め欲しい物を聞いたり、当たり障りのない物を贈ったり出来るようになったが、大人になって再び困ったのが、友達や知人の子供への贈り物である。
特に、自分の子供が生まれて、ありとあらゆる要らない戴き物を経て、なるべく邪魔に思わない物を贈りたいと思うようになった。

子供の好みは様々であるし、人の家の子供が今どんな事に夢中なのかを知ろうという探究心がない私には、プレゼントを選ぶのに楽しさは感じられない。

が、昨日意を決し、娘と学校帰りに待ち合わせ、買い物に行った。

長女には、娘があげたいと決めていたブリザーブドフラワーを、長男にはシルバーのチェーンを、二女にはクリスマスらしい飾り物を、二男には500ピースのジグソーパズルを購入。
二女と二男が悩みの種で、部屋で考えているときには何も思い浮かばなかったが、店をフラフラしたらあっと言う間に決まって、頭痛は治まった。

お花屋さんで来年のカレンダーを戴けたのを、何より収穫に思う私であった。

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綱手姫

・・・とは『なめくじ』である。

ひと月位前だったか、娘が台所で『なめくじ』を見つけ、塩をかけて遊んだらしい。

らしい、というのは、実際に私が、うちの台所に這う『なめくじ』の姿を目撃したわけではないし、見たくもないし、どうしてそこに『なめくじ』が這っていたのかとか、あまり深く考えたくない・・・。
第一、ゴキブリが出るとか、ありんこが行列をなすとか、コオロギが迷い込むとかに比べたら、遥かに変だし、嫌である。
だから、娘が主人を呼んで、拾い上げて捨てて貰っている大騒ぎにも、あえて参加しないでいたのだが・・・。

昨日の朝、いつものようにヤカンに湯を沸かしたので、火を止めて、ポットに移そうと取っ手の部分に手をかけた時、視界に流線形の物体が飛び込んで、思わず固まった。
ガス台の向こうで、立派な角を立てた『なめくじ』が、どこかに向かってジリジリ這っているではないか。

まいったなぁ・・・。

夜勤に備えて寝ている主人を起こすわけにいかない。
どう考えても、この処理は私の仕事である。
とりあえず、ガス台の向こうのステンレス部分にいるので、『消臭プラス』をかけてみた。
ちょうど、拭きたかったところだ。

ところで、私は花王のまわし者でも何でもないが、この『消臭プラス』は、かなりお薦めの洗剤である。
普段、フライパンを使う料理の後は必ず、ガス台の余熱が消えぬ内に台拭きで飛び散った油を拭うのであるが、徐々に油は残ってゆくもので、そういう部分を見て見ぬふりをして、年末やっぱり大掃除が必要となる。
『消臭プラス』は、そんな時、シュシュっと簡単に油汚れを落とすのが売りの洗剤なのだが、先日、違う分野での得意技を見つけた。

ひとつは、長年使い込んだヤカンのスス汚れ。
出来ればお湯を満杯に入れた状態で沸騰させ、そのままシンクに移動し、熱いところにシュシュシュとして放置すること10数分・・・ススがヤカンから剥がれ、廻りにブワブワブワっと浮くので、そのままジャーっと流せる。
顔が映って、まるで新品みたいになった。

ふたつめは、麦茶の入れ物。
我が家の冷蔵庫にはパックの水出し麦茶が常駐しているのだが、ちゃんと濯いでも、時間と共に色々こびり付き、擦ってもなかなか落ちない。
これも、シュシュシュとして待つ事10数分、結構綺麗に落ちる。

その大活躍の『消臭プラス』。
手肌にやさしいのか、綱手姫の最期の舞いは、なかなか終わりを迎えないのであった・・・。


思わず固まる・・・と言えば、固まる件が、もうひとつ。

最近我が家は、トイレの蓋カバーとマットを変えた。
変えたいっ・・・と思って1年。
風呂場のタイルが剥がれて張り替えたり、水道管が破裂したり、墓買い替えたりの間に、100年に一度の大不況である。
どうしても変えなければならない物じゃないという理由で、後回しにしていたトイレタリー。
でも1日の内に何度も見るたびに『変えたい』『変えたい』『変えたい』・・・人知れずストレスになっていた、気がする。

ようやく変えた、それは『Jiji』・・・魔女の宅急便に出てくる黒猫がワンポイントになっているものである。

買った時も付けた時も、娘と共に大絶賛したのだが、ドアを開ける度に、黒い物体が目に飛び込み、一瞬ドキっとして固まる。
この思いを他の家族がしているかどうかは定かではないが、いつの日か慣れるのだろうか。

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証明、証明って・・・

娘が被保険者の簡易保険が満期を迎えましたというお知らせがきた。

保険。
振り返ると、私はこれに随分助けられた人生を送ってきている。

大きな声では言えないが、毎日、根のしっかりしていない仕事をフラフラし続けていられるのも、結婚という保険あってのコトである・・・。
・・・そうでもないな。
逆か。
今回の墓騒動に消えていったお金は、まだひとりでいる頃、実家の母が『葬式代がないと困るだろうから』と、ほぼ一方的に契約してきた、やはり郵便局の簡易保険で、20年の時を経て、昨年末にやっと掛け終えたものであった。
だから、私の保険が今の家庭を支えている?のかも。

500万の葬式ってどんなんだろう・・・虫の息状態でかけたラスト3年には、恨めしくも思った。
まぁ、過去2回の開腹手術で充分元は取れたともいえるが、終わってみると、私は次の保険を契約出来ない身体である。
せめて、間違えて長生きしてしまった時の為に、年金タイプの生命保険に全納して半分を費やし、18歳の時まである子供の学資保険の残金を払い、残りは、何かあった時に動かせるよう、貯蓄に回して、1年も経たない内に、墓騒動である。
後半10年は、年間18万ちょいを自分の稼ぎから出せず、家計費からやりくりしてなんとか掛け終えたのだが、その分が丸々墓代に消えた計算となる。

さて、冒頭に挙げた簡易保険、これは、来年春、進学するはずの娘の為に消えてゆく予定のお金である。
私達が結婚した際は、親戚のひとり程度のお祝いしか出さなかった母が、父が亡くなった後、家を処分し、姉にマンションを与え、自分は田舎へひっこみ、私に何も出来ないのを理由に、娘を被保険者に掛けてくれたという、マンションに比べたら頭金程度にしかならないが、ありがたぁいお金で、多分、これがなければ、今回の墓騒動も、どうにかしようとは思いようがなかっただろう。

満期を迎えた保険をそのままにしていても1円にもならないから、というわけでもないが『全納していれば3か月前から請求出来ます』とあったので郵便局へ行ったついでに、手続きをした。
受取人は私なので、私が行けば何ら問題はないはず。
『満期ですね、おめでとうございます!こちらのお金は何かお使いになるご予定ですか?』
もう次の商品の説明をしだしたので、
『春を迎える前に、消える予定でございます』
と制し
『そのまま私の口座へ入れて貰えます?』
『承知しました』
出された請求書をサラサラと書きいれ、手続きが終わるのを待つこと5分。
呼ばれたと思ったら、
『こちら、本日が満期なので、明日からのお受け取りになります』
『・・・わかりました、口座には自動的に入るんでしょ?』
『はい、でも数日遅れますが』
『それ程急ぎません。春前迄に手に入ればいいですからっ』
『それには、こちらの用紙にご記入いただいて・・・』
っち、待つ前にくれればいいのに・・・。
『じゃ、また後日来ますから、今日はいいです』

実はもうひとつ貰える予定のお金があった。
さっき、残金を払ったという学資保険の生存保険金ってやつだ。
小学6年で1割、中学3年で1割、これがなければ、こんな保険には入っていない。
しかし、手続きの全てを私がしていても、名義は主人である。
預ける時には結構甘いくせに、受取るには『ご本人確認』がいるのが常。
前回6年の際は、窓口で委任状が必要だと言われ、その時は、切羽詰まっていたので、うちに帰って義母に一筆いただき、別の局でその日に受取った。
今回は、まだ日数があるので、委任状だけ受取って、また今度手続きしようと思う。
『こちらの委任状をご主人にお書きいただいて、証明できるものを2つお持ちください』
『ふたつ??保険証1枚じゃ足りないの?』
『はい、運転免許証とか』
そりゃ、持ってるけど、毎日車に乗って通勤してるんだから不可能である。
『でなければ、印鑑証明など・・・』
『・・・いい、本人連れてくるから』
もう、夜勤の日の昼間にでも連れて来るしかない・・・。

だいたい、他の名字だとか住居を共にしていないんなら別だが、同じ所に住んでる配偶者が請求してるのに、どこまでしつこく個人を追及すれば気が済むのか。

最近、何でもカンでもIDやパスワードが必要で、思いつきで設定しては『なんだっけ?』と聞かれるのにも閉口するが、連番がダメだったり、誕生日だと勝手に変えられちゃったり、2重のパスワードの設定を薦めるところもある。
こないだは、娘のゆうちょ銀行の暗証番号を間違えて、ロックがかかってしまった。
あれ?今日初めて入力してるんですけど?と窓口に持っていったら、当日だけでなく、今迄ひっくるめて3回目にロックがかかる仕組みなのだと言う。
ちなみに、ゆうちょ銀行の場合、通帳だけでもおろせるから、カードと通帳個々に、3回目の間違いでロックがかかるそうで、解除には勿論本人の証明が必要。

過去の過ちを許して貰えないなんて・・・。

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墓見本、貰ったらどこに置く?(紫家の墓騒動その5)

日曜日の午前中、新しい管理業者兼石屋さんが『墓地使用承諾書』を携えて、定刻5分前にやってきた。

9月のお彼岸に勃発した我が家の墓騒動は、早くも10月中旬に入り、刻々と年末へのカウントダウンは近づいているし、石を輸入する中国は、春節祭の時期になると、2週間位平気で輸出入が滞るとの事。
2月の初めには新しいお墓に落ち着いて、父の二十七回忌を迎えたいというのが今回の最終目的であるから、春節祭にかかって云々言っていられるわけがないのだが、あんまりゆっくり来週、さ来週と伸ばしているわけにもいかない。

石屋さんの本日の目的は、永代使用料の振り込みが確認出来たので、無事発行の運びとなった『墓地使用承諾書』という仰々しい封筒に入った厚紙を届ける事にあったが、両手には重そうな鞄が下げられていた。

墓地というのは、永代使用料を払って、土地を永代に渡って借りただけでは権利が確かにならない。
そこに墓石を建てることによって、初めて『うちの墓』だと主張出来るものである。
使用規則にも、半年以内に囲いを設けるようにだとか、1年以内に墓石を置くようにと記されている。

そうやって半年とか1年の猶予を設けているせいか、せっかく家に迄上がりこんで、この家の主と財務省が雁首揃えて座っているというのに、石屋さんの方からは『墓石は、いつどうなさいますか?』という話が出てきそうにない。
下手したら『今日はこの辺で』と帰りそうだったから、何度も足を運んで戴いても悪いし、こちらから今後の予定を促すと、石屋さんは、お風呂場のタイル程の大きさの石見本がギッシリ詰まったアタッシュケースをパカリと開けた。

『どのような形をお考えでしょうか?』
現在のうちの墓は、よくお化け屋敷で見る縦長の『和型』である。
先日新しい霊園を見学した折、ふと娘が『あんまり高いと、ばぁばが水をかけるのが大変だ』と呟いた。
なるほどと思い、義母にその話をしたら、単に『頭から水をかけるもんじゃあないから』という理由だったのだが、今回は『洋型』にしようと思っている事を告げると、もうひとつの鞄から、数枚の図面が出てきた。
CADで綺麗に描かれた墓の斜視図である。
1段積みと2段積み、直角に切りっぱなしのものと各角に面取りを施したもの、それから各パーツの下方に飾り切り込みを加えたものなど、細い線で描かれていて大変判り易い。

石屋さんは、テーブルに左から順番に石見本を並べ出したが、多分今迄の話をしている段階で、あんまりお金をかけたくないのを察している模様。
だからかどうか、一応という感じではある。
石にも色々ランクがあって、基本は白御影石であるが、真っ白ではない。
どちらかと言うと、白地に細かい黒ブチが混じって白っぽく見える。
隣に置かれたのが1ランク上のもので、白と黒の割合が同じ位だから、基本の白よりちょっとグレーっぽい。
ずっと右側に置かれたものは、顔が映りそうに黒びかりしている。

石のランクは、密度によって決まり、密度が高ければ硬くて吸水性が低いそうだ。
キメも細かいから、当然表面も滑らかで、お参りした時に水を絞った布で拭いてあげるだけで、いつまでもピカピカしているという。
石といえども水を吸うので、水分の含みが多ければ、それだけ脆く、欠け易くもなるそう。
表面を四角く平らに切りっぱなしだと、雨が降った際、水分が表面張力で保たれてしまい、時間が経てば経つ程石に吸いこませる事になる。
いずれにしろ、10年やそこらの話ではないが、標準ランクの石でも角の面取りをしたり、天辺を『くし(蒲鉾)型』にする事で、水が長時間溜まる事を回避出来るという。

うち仕様の図面が出来上がったら、今度はミニチュア版の実物を見せてくれるそう。
それってよく、新築のお宅を造る際に見せてくれる便器だとかバスタブの見本みたいなものだろうか?
え?くれるのかな。
それも困るが・・・ちょっとワクワクしてしまう私であった。

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ゆとりは隙間と金額に(紫家の墓騒動その4)

『いっそ新しい所に、お引越しってのどう?』
と提案した私であるが、言うからには『ここ』か『ここ』ならという目星がついていた。

第一候補地。
駅から徒歩10分、年間管理料一律1万円。
墓石代・工事費・初年度年間管理料・基本彫刻費・永代使用料・消費税含んで96.25万円!但し0.4平米。

0.4平米と言えば、単純に四角い敷地だとして、幅約63㎝である。
長年自分達がお参りしてきた墓を基準に、63㎝を狭いと感じるかどうか、定規に向かって『前へならえ』をしたところで、想像つかないというのが正直なところ。

今の敷地がほぼ真四角の4平米。
4平米というと、幅が2m、砂利を敷いてある部分でカゴメカゴメが出来そうな広さの敷地である。
後々に引き払うような場合の他、納まる予定人数を考えても、そんな広さは要らないのだけははっきりしている。

尚、この霊園は、0.4平米(永代使用料28万円)~1.6平米(永代使用料128万円)迄、10段階の細かい設定である。

第2候補地。
駅から徒歩12分(とあるが、歩道が確保されていない割に多い交通量を考えると、実際あまり歩いて行きたくはない)。
土日のみ送迎車有り(とあるが、入口にある管理棟迄と予想する)。
1.5平米で、墓石代・工事費・初年度年間管理料・基本彫刻費・永代使用料・消費税等でオープン価格208.65万円!

こちらは1平米が最小となり、永代使用料は1平米につき60万円(だから6平米なら360万円)、年間管理料は、1平米につき8,820円(もしも6平米あれば52,920円)と、明瞭かつシビアな設定。

ちなみに、ここは総区画数7,500のうち、まだまだ空いている所の方が多く、オープン以来時々電話の勧誘を受けては、いつも丁重にお断りしていた霊園である。

実は、墓騒動が発端した彼岸最終日の翌日、日曜と月曜の2日かけて2箇所の霊園を比べてみた。

第一候補地は、霊園として大変小さく、まず今後の運営がどうなってゆくのか気になる所であったが、実際に行ってみてわかったのは、実はここは、元々古くからある寺で、普通の墓地も持っている。
『近所の方がお墓がないって困ってらして』
と空いていた土地に管理業者を入れて、宗派自由の霊園を開いたとのこと。
今のご住職がおやめになっても、他から派遣されてくる古いお寺であるらしい。

駅からは、ほぼ平坦な道のりで、最後の20m程が、私の住む地域からは切っても切れない縁の坂道である。
訪れた日、何の気なしに曲がって登ろうと思ったらマフラーを地面に擦った傾斜角度だと言えば想像がつくだろうか。

さて、いきなり勧められたのは1.5平米の『ゆとりタイプ』。
次に紹介されたのが同じ1.5平米でも『一般タイプ』。
敷地の幅いっぱいの洋型墓石を目の前にすると、かなりデカいと同時に圧迫感を感じる。
しかも、墓石と墓石の間に、誤って何か落としてしまった日には、永遠に取り出せないかもしれない『隙間』と呼ぶにふさわしい間である。

『ゆとりタイプ』というのは、隣の敷地との間に緑を植える『ゆとり』の空間を設けたもので、墓石の幅が『一般タイプ』よりも狭くなる分、石の体積も小さくなる。
従って、墓石の金額に『ゆとり』が生まれるというものであった。

墓石代の広さによる金額の一覧表を見ていて、同じ平米で、普通『一般』より『ゆとり』の方が高いと思われるのに、何故逆なのか、謎が解けた。
墓石業界全体がそうなのか、たまたま同じだったのか、第二候補の地でもそういう表現をしていた。

では、問題の0.4平米とは、どれ程のものなのだろう。
『せっかくですから、どうぞどうぞ』
と案内されて前に立ってみると、なるほど、確かにコンパクトである。
骨壷の定員は2名様迄だそう。
さすがにこれでは小さいと思ったが、今はご夫婦だけしか入る予定がないという方もいらっしゃるから、割り切った大きさであるらしい。
骨壷としては二つしか入らないが、納骨の部分には必ず1ヶ所、土の部分を設けているので、小さくなった先代の遺骨は土にお返しすることで、人数は増えてもある程度は大丈夫なのだそう。

現在の我が家の墓は、『芝台』とも呼ばれる『下台』の上にピラミッド状に『中台』『上台』、そして○○家とか彫ってある細長い『棹石』が積んである『和型』と呼ばれるもので、納骨は墓石より下、地中となるが、今はそういった形は主流ではないらしい。
積んだ墓石の一番下の部分を空洞とし、コンクリート敷きの納骨堂となっていて、その一番手前に、先程記した
土に返す部分を残して造る。
霊園の基礎を全てそうしている為、物理的に今使っている墓を持ち込んでは使えない。

色々見せて戴いて、大体どれくらいの広さが適当なのかの見当もついてきた。
『この位でいいんじゃあない?』
と思えたのが0.8平米のゆとりタイプ。
骨壷数で言えば4人分だそう。
義父・義母・主人に私。
『ジャストサイズじゃん』
『ぇえええ・・・』
自分が頭数に入っていない事を知る娘の声。
『ええって、あんたは嫁に行かないのかい?』
ってか、若い美空で墓に入れるかどうか心配するより先に、とりあえず高校へ入る事を考えて欲しい。

後は、墓石の種類とデザインによって上物の金額が決まる。
建立者や家紋、○○家といった表面の彫刻までは基本料に入っているが、角を面取りしたら10万、卒塔婆立て付ければ10万という具合に、いくらでも金額は上がってゆく。

こういった物は、上限を決めておくというのが鉄則である。
細々雑費含んでも、200万は絶対に越えてはならない。

一応、第二候補地の事。
売りは、先に記した通り、1.5平米で『ゆとりタイプ』の208.65万円だが、こちらの1平米区画には『ゆとりタイプ』が用意されておらず、敷地を1平米に抑えると総額は231.15万円と返って高くなる。
1平米なら年間管理費は8,820円だが、買う時安く1.5平米にした場合、年間管理費は13,230円、50年管理していただくと年間管理費の差額で高い方の墓石分を払い終わる計算である。
いずれにしろ200万越えなので、却下。
しかしながら、ここに足を運んだお陰で、『遺骨救済計画』が立ったので収穫は大きい。

というわけで、ゆとりの金額で事が進みつつある紫家。
必要書類が揃ったら、結婚した時には既に土の下にお隠れになっていた義父との対面も間近なのであった。

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遺骨救済計画(紫家の墓騒動その3)

我が家の墓がどういう状況にあるのかを詳しく説明出来る方からの連絡を待つ一週間、様々な人に、今回の話を聞いて戴いた。

とりあえず地域の消費者センターに言ってみたところ、法律に関わる内容だからと、相談出来る事務所を紹介されたが、最短相談可能日が遠かった為、順番を待っていられず、自力で無料相談を受けて戴ける事務所を探した。
実際相談には丁寧に応じて戴けたが、法律に詳しいからといって簡単に解決に導ける問題でもないらしい事だけがわかった。

では、埋葬や改葬の届けが区役所なので、何かわかる事もあるかもしれないと区役所に問い合わせたら、認可や権利に関しては『ちんぷんかんぷん』で、どう説明しても埋葬場所を探している程度にしか聞こえないらしく、たらい回しにされた挙げ句、そういう内容は市役所の健康福祉局・生活衛生科だと電話番号を告げられた。

市役所の健康福祉局・生活衛生科では、霊園名を挙げたら、大凡の内容は把握していたが、細かい相談は、○○弁護士事務所にするようにと案内され、その方はこの件での破産管財人の1人であった。
だが、その方から紹介されたのは、結局、最初に管理事務所で、現在休暇中だと言われた事務所長なのであった。
聞けば、彼はただの休暇ではなく、病気療養中との事で、完全復帰迄はまだ遠いらしい。

大体、あれから1週間経ったというのに、取り次いだ管理事務所の副事務所長からは、そういう情報ひとつも入って来ないのだ。
催促の電話をしたら、
『電話、いってませんか?』
『・・・来てたら問い合わせません』
事務局長には電話をするよう伝えたので、自分のせいではないと言いたげである。
しかし、それらしい着歴は一切残っていない。
『・・・ていうか、その病気療養中の方、お話出来る状態なんです?』
このまま黙って治るのを待っていたら、1ヶ月経っても何も言ってこないだろう。
不謹慎だが、その方にもしもの事があったら、話が進まないと副事務所長に文句を言ったら、何かあったら、また上の人がする事で『我々下々の者が関わる問題ではない』と言われた。
清算中とはいえ仮にも『管理事務所』の看板背負った副事務所長が、そう言うか…。

だったら、病気療養中の事務所長が電話口に出られない瀕死の状態でない限り、話をしていただかなければならない。
なので、今回はいつ電話をくれるのか確認出来次第『あなたから私に連絡してくれるよう』お願いして、ようやく、多分事実に一番近い内容を聞き知る事が出来た。

まず、
遡る事10年前、霊園運営以外の事業に手を出した事により、94億円の負債を抱えて、財団法人を取り消された。
関係霊園は、うちが墓を持っている園以外に数ヶ所あり、他市・他県にも及ぶ。
破産して明らかになったのは、全体敷地面積比によって定められた、本来緑地でなければならない部分や急傾斜地など、墓として当然認可の下りない土地まで『ご好評につき』分譲した違法利用。
それは、うちの霊園だけでも8千を数え、当初、市はその全てを、園内認可の下りた地に移動するよう命じたが、そんな土地も予算もないのは明らかである。
破産10年とはいえ、初めの8年は放置されていた。
その間に、自分達の墓は自分達で守ろうという会が発足した模様。
市は、重い腰を持ち上げて前記の通り命じたものの、徐々に言ってる事が緩くなり、まずは認可云々より、危険とされた箇所の土壌を調べた所、地盤としてはしっかりしていることが判明。
墓を守る会の意見では、危険がないなら希望者だけ移動すればいいのではないか。
それも、破産管財人側からすれば、この守る会の横槍が、市の最終決定を、いちいち鈍らせているとのこと。

ここで所長は
『市だって、造成している時から知っていて何もいってこなかったですよ』
とぼやき、
『そもそも、このせいで私は病気になったんだ』
と嘆く。

それはさておき、
管財人としては、最終的な方針に決定が出ない限り、違法の地や危険とされた地を利用している方々に、お知らせ出来ない状況だとのこと。
従って、現状で修理や園内移転を希望する持ち主には、今後はまだ未定である旨納得戴き、自己負担での修理、及び移転をお願いしている。
市の最終決定が下りれば、多少なりとも霊園からの補助も出せると思うから、うちのようなケースの場合、応急処置を施して待ったらどうか、というご意見。

予定では、今年の1月初めに決定が出かかった折、『お墓を守る会』から待ったがかかり無効。
年内には必ず何らかの決定をするとおっしゃっていたが、その調子じゃ、あてには出来そうにない。

我が家としては、勢い余って、ここを出ようと迄計画したが、元々は、今墓がある場所での修繕を考えていたわけである。
修繕と同じ金額から上限100万以内で、同霊園内の平坦な区域に引っ越しが出来るのであれば、今より条件は良くなると考えていいと思うのだが、どうも話の様子では、補助程度の金額しか与えられる予定はない。
そして、今現在墓がある場所は、急傾斜地にあっても頑丈であるとわかったが、無認可である事は、この先も変わらないのだから、そのまま修繕しても、市からの決定が『移動』となれば、再び莫大な金をかけて移動しなければならないのだ。

やっぱり、出た方が良さそうである。

問題は、更地にする為の費用。
これにずっと悩んでいた。
本来、ただの改葬であれば、次に使用する人の為に更地にして返すのが正当なのは理解している。

しかし、ここは市が認可していない土地であり、うちがいなくなったら、他の誰も使えないはず。
市が言う通りに、一帯を何もない状態にして戻すのなら、この区画の全員がいなくなる事が必要で、そうなれば一度にガッと均してしまえばよいのだから、本来かかる程の金額は、かかるはずない。
また、『お墓を守る会』の主張によれば、移動させたり更地に戻したりといった費用は、管理料を何年かの間上乗せして、既に(うちのように)永代管理料を払った人も含めて、みんなで払っていこうというものである。
もしも、うちが自費で園内移転した上更地の費用を出して居残った上、管理料迄請求されるようになったら、二重の支払いが生じるという事になる。

誰が正しいかよくわからないが、あんまりかかわっていたくない・・・。
相手が滅茶苦茶なのに、こちらが正当な手順を踏まないといけない理由が見えない。
はっきり言って、更地にするお金だけは出したくない。

と、ここで、改葬先の霊園として回った内のひとつでお会いした事務所の方が、ぼそっと呟いたのを思い出した。
『永代使用許可を持っているのなら、別に、その権利放棄しないでもいいんですよ』
あまりお薦め出来る方法ではないが、と加えて黙った。

なるほど、墓をふたつ持っていて悪いというきまりはない。

『今現在、この件がいつ納まるという確証がない中、既にカロート部分に水が浸透しているかもしれない状況で、応急処置を施して待っているわけには参りません。
この件がキチンとするまで実家の墓に避難させ、落ち着いて、来年二十七回忌の法要をしたいので、遺骨を出したいと思います。必要書類(墓地管理証明書・改葬許可申請書)を出していただけますか?』
書類は事務的に手に入った。

勿論戻る気なぞない。

通常、管理料の支払いが3年以上滞ったり、連絡が取れなくなってしまった場合、霊園側は、その墓を無縁として処理して宜しいそうで、更地にして他の方に分譲しても元の持ち主は文句言えないそう。
そうしてくれるのが一番ありがたいが、それもこちらが思う程簡単ではないかもしれない。
けど、何年か先の話だろうし、その時はその時である。

改葬には、現在どこに埋葬されているかの証明と、次に入る墓地があるという証明(新しく入る墓地の使用承諾書)が必要である。
いよいよ、墓地買わなくちゃ。

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お墓、持ってますか?(紫家の墓騒動その2)

『お宅から交通便の良い場所にできた霊園のご案内です』
という電話があるたび、
『お墓は持ってますので』
とお断りしてきた。

それが一転、墓探しである。

ちなみに、うちから通える範囲で、墓というのは、私が知る限り平らなところにはない。
墓地そのものは平らであっても、そこに行き着くまでは、絶対と言いきってよい・・・坂がある。
それに駅からすぐなんて土地があったら、まず、生きた人間が住みたいと思うだろう。

結婚して最初に墓参りに連れて行かれた時に思った事。
『あたし死ぬまでここに通うんだろうか・・・通うっきゃないんだろうなぁ』
今回の件で改めて考えたのは、自分達が年老いて自動車運転免許を返上してからの事。
ある意味、義母は良い。
例え歩けなくなっても、運んであげる我々がいる。
だが、私達夫婦が車を運転できなくなった時を思うと、今の霊園内でどんなに良い場所に移動をしたとしても、墓迄歩く距離が長過ぎる。

だから、きっと今が買い替え時なんだよね、と前向きに考える。

さて、『お墓を買う』とよく言うが、買うのは『永代使用』をする権利と『墓石』である。
耳に馴染んでいた言葉は『永代供養』であるが、『永代使用』と『永代供養』では意味が違うらしい。
お寺の檀家さんになって墓地を持つ身内は主人の父の田舎の方にいるだけで、私が墓参りをするような間柄の人は全て、『永代使用料』を納めて、各霊園のお世話になっている。

『永代供養』とは、墓参りをする人がいなくなっても、お寺や霊園が供養し続けて下さるというもので、共同の墓所であったり、供養塔の内部を細かく仕切り、各々の遺骨を納めておくタイプで『永代供養墓』とも言うらしい。

『永代使用料』を払う霊園では、宗教を問わない。
臨済宗であろうが、真言宗であろうが、キリスト教であっても、横一列に仲良く並んでいる。
ただ、ここからここという仕切られた内に許される大きさの墓石を置く。
墓石のデザインも選択肢があるだけで、既存の墓石を持ってきて使うなんて通常無理だし、好きな石屋さんを選べるところは少ないのではないだろうか、とわかったのも昨日今日の話である。

『永代使用料』とは土地借地料である。
借地であっても更新はない。
但し、代替わりの際は名義変更が必要で、それなりの手数料は発生するが、既に払った『永代使用料』とはケタ違いに安い金額であるけれど、霊園によって規定は異なる。
この使用権は、多分『あなたやあなたの子孫がお墓として使用している限りは3代でも4代でも使ってていいよ』という権利で、その『お墓として使っているかどうか』というのは、墓石がそこに存在しているか、或いは管理料なるものをキチンと払っているかというところにあって、骨の存在には触れていない。
夫婦健在の内に墓を購入し、どちらかが亡くなったら即入れるように準備している人も少なくないのだから。

但し、その墓が不要となった場合には、買った時の状態に戻し、無償で返還しなければならず、その費用は1平米あたり10万強が相場であるから、買う時に安いったって広い土地を無駄に使っていると、いざ返却する際にツケが回ってくるという仕組みである。
我が家などその最たる例で、振り返れば、使っている間、ただ草むしりが大変で、いざ立ち去ろうと思えば10万×4平米だからざっと40万の費用がかかるという計算である。

しかも、遺骨のお引越しとなれば、1人あたり4万とか5万で取り出していただく。

何年か前、実家の墓を『永代供養墓』に引越す際、うん十年ぶりに納骨室を開け取り出した所、父の養父母2体分のつもりが、あと2体出てきて、狭くなるので一緒に連れてはいけないし、そもそもどこの誰かもわからないのに供養をしないわけにもいかず、泣くに泣けなかったと聞いた。

その一度葬った遺体や遺骨を、別の所へ葬り直すこと、お墓のお引越しを『改葬』と言うそう。

『改葬』には、まず、新しいお墓を確保しなければならない。
何故なら、埋葬するにも改葬するにも役所の許可が必要で、今埋葬されている所と、今度改葬する所をはっきりさせないと、役所で許可を出せないらしい。
だからまず、空いている霊園を探し、新しい管理事務所に『永代使用料』と規定の『管理費』を支払い、『墓地使用承諾書』を発行していただかないと話が先に進まない。

と同時に、既存の墓地の管理事務所からは、『埋葬証明書(墓地管理者証明書)』と『改葬許可申請書』を戴いておく。
『埋葬証明書(墓地管理者証明書)』には、埋葬されている人の名前・墓地の住所・墓地管理者の署名・押印が必要である。
『改葬許可申請書』には、死亡者の本籍・住所・氏名・性別・死亡年月日・埋葬または火葬場所及び年月日、それから改葬の理由・場所・申請者の住所・氏名・続柄等を書く。

新しい『墓地使用承諾書』が出たら、『埋葬証明書(墓地管理者証明書)』と『改葬許可申請書』を共に、既存の墓地がある市区町村役所で『埋葬許可証』の申請を行う。
交付された『埋葬許可証』を既存の墓地の管理者に提示することによって、御魂抜き(閉眼法要)し、遺骨を取りだす事が出来るらしい。

この後、不要になった墓石を処理し、敷地を更地に戻して返還する。
そして、新しい墓地で開眼法要と納骨を行い改葬を終了とする。

つまり、新しいお墓が決まらないと先に進まないという事であるが、今住む所から離れすぎず、駅から歩いて着き、タクシーも楽につかまえられて、金額に折合いがつくような願ったり叶ったりの場所は、簡単には見つからないし、霊園は存在していても既に完売していたり、という中、ふたつの候補地が見つかったのだが・・・。

所帯を構えた時、何事もない内にと義母から主人に移した『墓』という権利について、ホントのところ何も知らずにいた私達に、来年二十七回忌を迎える義父が、ひとこと言いたくなったのかもしれない今回の件は、まだまだ続くのであった。

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確かに傾いてます(紫家の墓騒動その1)

秋のお彼岸最終日の午前中、墓参りに行ってきた。

広い霊園の奥、管理の為の車を除いては、進入禁止の坂の果て、義父は25年以上静かに眠っている。
坂の最後は梯子のような階段が待つ。
今辛そうに前をゆく義母と同じ姿に、いずれ私もなるのだと登るたびに思う。

その梯子のような階段を登りきって、主人が異変に気付いた。
『墓、傾いてね?』
『・・・へ?(ぜー・・・ぜー・・・)』
言われれば、若干おじぎしている模様。
見ると、墓石の土台に少し隙間がある。
改めて正面から眺めると、気持ち右傾斜。
素人目にもわかるのは、土台の部分が崩れてしまっているからなのだが、このままでは納骨部分に水が入っていってしまうだろう。

一大事である。

だって、何年か前、墓の外壁の目地が緩んだ為組み直した時、11万だか12万払っているのだから、墓の土台からとか言ったら、20万じゃきかないだろうし、30とか40とか下手したら50とか?と主人が脅す。
『えー・・・そんなにかかるのー?やだなぁ』
『って、多めにみとくに越したこたないでしょ』
後にそれが全然多めじゃないとわかるのだが、何にしろ、霊園だから事務所に相談するしかない。

家に戻って、早速事務所に電話したら、契約の石屋さんに直接電話するように言われ、当然現地調査の上でないと、なんとも返事がし難いのでと、折り返しを待つことに。
早々に現場を見て下さったらしく、いくらも時間を空けずに電話はかかってきた。
事態は、私達が見てきた通り、結構急を要する状態らしい。
『それで大凡の見積としてはどれ位に?』
ここが肝心である。
『えーと85万です』
『わぁおぉ』
下手したら50どころの問題ではないじゃないか。

ただ、実際に工事をする場合には、事務所の許可が必要だと言う。

その時は『はいわかりました』と電話を切ったのだが、これはちょっとおかしい。
事務所には最初に電話をしているわけで、その時に修繕をお願いする前提で話をしたし、それで石屋さんの電話番号を伺ってかけたのである。

とりあえず、管理事務所に電話。
『墓石の修繕をお願いするのに、許可をとるよう言われましたが、どうすれば?』
最初出たのは女性だったが、何区画の何番地かを聞かれると『ちょっとお待ちください』と言った後、電話口に出たのは男性であった。
『お宅様の墓地は、無認可ですので、そこで修繕をされたいとおっしゃるのであれば』
『・・・・・・はい?』
『お宅様の墓地は、無認可ですので・・・』
いや、聞こえなかったわけじゃないんだってば。
『あの、何をおっしゃってるのか、理解できませんが』
『ですから、お客様が御使用している墓地は、墓地としての認可が下りていない土地なのです』
『そんなの今初めて知ったんですけど?』

実は、我が家が墓地を持つ霊園は、1999年厚生省から墓地を経営する法人の認可を取り消され、解散となって、清算手続中なのだ。
それは今も霊園の名前を挙げれば『潰れちゃった霊園』として地元では有名な話で、当然私達も知っている。
義母が墓地の権利金を払ったのが1984年。
そんなに昔から、正式な墓所としての認可も得ていない所に、墓としての永代使用許可を出していたということになる。
潰れたのは霊園とは無関係なリゾート開発等に手を出し、巨額な借金を抱えた故であるが、元々が、いい加減な経営であったのだ。

我が家は断じて、当時無認可であるのを承知で買ったわけではない。
しかしながら潰れたと知って、どうなるのか見守っていただけの10年でもある。
寄付を強要されるでもなく、立ち退きを迫られるわけでもなく、今日まで平和に墓参りや法事をしてきた。

たまたま今日、古い墓の土台がダメになったらしいから事務所に電話をしたのである。
けれど、無認可な上、移動が必要なのだという件は、ついでがあって伝える内容であろうか?
更に、実際その勧告がいつ出されたものなのか、そういった場合どのような手続きを取らなければならないかを説明できる人間が、ひとりだけしかおらずに9月末日迄休暇中だという。
『うちの墓が明日倒れちゃったら、全面的に責任取って下さるんです?』
『それも休暇が明けてみないとお答えできません』
何を言ってるのかわかってんのかこいつ。

彼と今話を続けても解決しないって事はよくわかったから、しょうがないので、実際に似たようなケースで工事をしてきたであろう石屋さんに打診することに。
『そういった場合、移動って、いくらくらいかかるんです?』
今ある墓は4平米。
現在どこの霊園を探しても、普通の家が4平米も新しく持てる時代ではない。
実際最近みるのは1平米から1.5平米、もっと小さい区画も普通に分譲している。
この霊園とて例外ではなく、空いている土地と言えば、墓地として使っていいと与えられた範囲に墓石がすっぽり覆う広さである。
だから外壁をそっくり新しく作り変える事になるので、150万かかると言われた。

俗に言うところの永代使用料等は免除し、既存の墓石を使って150万?
この時点で、その金額が安いのか高いのか、何の比較対象もないので、比べようがないし、もし高いとわかっても、指定業者以外は使えないのであるならば、所詮言い値を払うしかなくなってしまう。

思えば、許可が下りず、とんとん拍子に話が進まなくて良かったのだろう。
色々と調べる時間が出来、霊園関係者が運営する『お墓を守る会』なるサイトを見つけた。

法人解散から7年後、管財人と裁判所がようやく動き出し、問題点を明らかにしたとのこと。
何年経っても減らない借金の事も重要だが、宅地造成法に違反して造成が行われて、我が家のように非常に危険な箇所もある。
平地でも道路上に墓地を作るなど無届けで墓地を作り売却した箇所を含め5,000近くあるらしい。
それを市が求めるように更地にするには、莫大な費用がかかるから、管理料を値上げして財源にするというものだが、今後は、うちを含む永代管理料を払った墓主からも平米あたりの管理料を払うようにしてゆくとある。

よくわかる人の休暇明けを待たずして、自分ちの墓場は、無認可な上、急傾斜地であるが故、最優先移動区域指定内にあり、85万かけて改修しても安心は買えないのだと理解できた。

と、同時に、こんな怪しげな業者と傾ききった霊園の中で、150万払って移動するのが、限りなく無駄に思えてきた。
『いっそ新しい所に、お引越しってのどう?』
また長く悩むコトが必要な問題を提供してしまった私である。

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それはいつ?

先日、近所の夢庵でトイレに入った時の事。

『このトイレは離れると自動で水が流れます』
ああ、そうですか、と用を足していたら再び
『このトイレは離れると自動で水が流れます』
と女性の声。
はいはい、わかりましたよ・・・特に長居をした覚えもないが、2度も同じアナウンスを聞くのは、せかされているようである。

しかし、実際に立ちあがっても何も起こらない・・・。
じゃあ、手動で流して出れれば問題はないが、タンクはあれどレバーがない。
え・・・それはそれで、ちょっと困るんだけど・・・。

トイレの洗浄の方法には色々ある。
家庭に普通設置されているタンク型は、一度流してしまうと、ある程度水が溜まってからでないと、次の洗浄に差し支える。
昔、知人宅のトイレを借り、うっかり一度流してしまい、もう一度流して出たいのに水の流れをかなり絞っている為、泣きたくなる程長く待たされた事がある。
観光地の外のトイレでよく見かけたのが、見上げる位置にタンクがあり、紐だかクサリを引っ張って流すタイプ。
今迄そういうトラブルに遭った事はないのだが、紐を引っ張るとタンクごと落ちてきそうで怖いのは、私だけだろうか。
思わず身体を斜めによけて引っ張るのだが、もし実際に落ちてきたら、そんなもんじゃあ防げないだろう。
とか思いながら、やっぱり気持ちよけて引っ張り、上から水やタンクが落ちては来ず、足元でだけ水が流れて安心する。

最近よく見るのが、センサーに手をかざすタイプ。
だいたい席を立てば自動で流すのを併用していると思うが、自分で流したければ手をかざすと流れてくれる。

自動で流れると言えば、座ると終わったと思われる時間で?流してくれるのもあり、ちょっとゆっくりしていると、流れの良い川の上ででも用を足しているようで、せわしない・・・。

などと色々思い巡らしているが、自動だと言いつつ、いつまでも流してくれないコレは、どうしたものだろう。

もしかして、ドアの内側にいるのが悪いのか?
そんな、後始末もしない状態で見えない所になんか行きたくないのだが、幸いトイレスペースには私の他誰もいなかったので、ちょっとドアの外に出てみたが、やっぱり何も起こらない。

困った・・・。

そうこうしている内、どこでタイミングがあったのか何事もなかったように水は流れ、席に戻れた私であった。
一体、何がいけなかったのだろう。

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