戌年だから?
今朝、久しぶりに、座布団の下からティッシュに包まれたキュウリが出没した…って、どんな家だよ。
隠した主は、中学1年の娘である。先日誕生日を迎え13歳になった。天然的に忘れっぽい。もしかしたら記憶という部分に欠陥が見られるのかもしれないと、時折心配になるのだが、妙な事は小さい頃の話でも覚えているから、興味のグラデーションの幅と色数が一般に比べて少ないのだろう。
誰でも、自分の興味範囲外を記憶し続けるというのは難しいから、興味がないと言われてしまえばそれまでなのだ。
…に、してもだ、例えば、朝夕寒いので、風呂上りに履いた靴下を、翌日に履こうと思うのか、枕元に置いて、朝になると別の靴下を箪笥から出して履いてしまい、3足程溜まったところで、
『あと1足溜まったらタコだな』などと指摘される迄、置いたままでいられるというような点は、私には理解出来ない。
下着のタンクトップにしてもそうである。ある日、素肌にYシャツを着ているので問いただしたら、タンクトップがないからだと抜け抜けと言う。部屋を探すと、あっちの袋、こっちの鞄から、出てくる出てくる…。
それを夕飯時に説教していたら、向い側に座って食べていた義母がクスクス笑っているのを見て、私は無償に腹が立ってきた。参考までに、我が家の洗濯係は、干すのもたたむのも義母である。
『お義母さんも、うちは女が30人じゃあなく、たった3人しかいないのに、毎日洗濯していて、女物のパンツとシャツと靴下ってセットが足りないのに気づかないわけ?』
…とんだとばっちりである。
それが何故、冒頭の『キュウリ』に繋がるのかといえば、単にキュウリは彼女の苦手の一つである。特別にキュウリは食べないといけないものではないが、果物1切とドライプルーンとトマトとキュウリは、付け合せに楽なので、我が家の朝定食なのだ。それにウィンナーだとかハッシュドポテトだとか目玉焼きといったオプションがつく。あとはトーストとヨーグルトと野菜ジュースである。
彼女は時々、謀反を起こしたくなるようで、いつもは渋々食べているのだが、たまにティッシュに包んでわからないように捨てている模様。本来、きちんとゴミ箱に入れて、その計画は完了するのだろうが、包んで置いた所で記憶が途切れるらしい。テーブルの足の横に置いてあるのを拾った事があるし、彼女の自室でも拾った事がある。そして今日の座布団の下である。
どれ位前だったか、私は知人にそれを嘆いた事がある。そしたらその人は、事も無げに言った。
『だって戌年なんでしょ。』
犬は、掘って隠して忘れちゃう……なるほど…。それ以来、そういうものを見つけても、若干腹の虫がうずうずするのは治まる、納得出来るような、出来ないような複雑なおまじないである。
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